リスペクトコラムです。
同期クラブなのにJ3に行かれた時に残念に思いましたが、見事J2に復帰され、今期は地元J2岡山の上を行く順位。選手とファン・サポーターとの距離感,SNSを活用した様々な取り組み。それらは地元J2岡山も学ぶべき部分があるのではないかと、個人的に思っています。それらを実現できたのはひとえに江藤取締役(えとみほさん)ではないかと思ってます。ある意味そんな外部のブレーンがおられる事をうらやましく思います。どんな組織でも言える事ですが、やはり、外部の血を入れないところはしんどいイメージがありますね。

【栃木SCは、ソーシャルメディアで切り開く。えとみほインタビュー】
「明治安田生命J2リーグにおいて、栃木SCはいち早くデジタル化に舵を切ったクラブと言えるだろう。例えば社内のやり取りをSlackに統一(現在はHangoutChat)したり、求人にWantedlyを導入したり、入力フォームにformrunを活用したり……FAXが現役という現場もまだまだ多い中、同クラブはSaaSを活用した業務改善に取り組んできた。こうした取り組みは、コロナ禍を経てさらに加速した感がある。とりわけ最大の懸案事項である収益面においても、大いに参考になる事例がありそうだ。入社以来、同クラブのデジタル化を推進してきた“えとみほ”こと江藤美帆氏(同クラブ取締役)に、栃木SCの現状について伺った。
〔選手が「敗戦後に」SNSを発信できる理由〕
―いくつか拝見していますが、ソーシャルメディア上の活動で多くの選手から協力を得ているのですね。
えとみほ:そうです。コロナ明けに、クラブの現状についての説明会をしたんですね。『オフラインの活動ができないので、ファンの皆さんに選手のキャラクターを伝える機会が少ない。そうなると、応援してもらうことが難しくなる。SNSで、皆さんのキャラクターや人柄の部分を出していきたい』と。特にYoutubeやTikTokなど動画メディアは活用していきたいので、協力をお願いしました。過密スケジュールで大変なんですけど、どうにか理解してもらって現在に至ります。」
「―選手に、何らかの制限は設けていますか?
えとみほ:『DMは絶対返さないでね』『いいねは平等に』でしょうか。特定の人ばかりやり取りすると『なんであの人だけ?」となって、揉め事の原因になるんですね。
―伺っていると、アイドルのSNS運用と近しいですね。
えとみほ:そうですね、ファンの人たちは本当によく見ているので。例えば選手のイラストや写真をアップしてくれる人たちは本当にありがたいんですが、そこで喜んだ選手がついDMに返事したり、偏っていいね!をするとトラブルの原因になる可能性もあります。そこは気をつけてね、とお願いしています。
〔選手のエンゲージメントは「信じられないほど」高い〕
―去年と比べて、発信の仕方が変わった選手はいますか?
えとみほ:瀬川和樹選手ですね。去年の途中でウチに来た選手なんですけど、コロナの間も自分にできることは何かを考えて『1人スポンサーパーティ』をやってくれたり。
―『1人スポンサーパーティ』。すごいですね、こんなことを(笑)。
えとみほ:ユニフォームスポンサーの本社まで走って、記念撮影をして、SNSに上げることを繰り返してくれたんです。すごいのは、カワチ薬品さんのケース。クラブスポンサーのドラッグストアさんなんですが、本社が宇都宮市から30キロくらい離れているんですね。瀬川選手は、そこまで走ってくれたんです。
―とんでもないですね! シーズン中にはできない、自粛期間中かつアスリートだからこそ可能な行動ですね。
えとみほ:もちろん頼んだわけでなく、自発的にスポンサー露出を増やそうとしてくれたんです。彼以外にも、自粛期間中にいろいろ考えてSNSで発信してくれた選手はいます。例えば、カワチ薬品さんでは栃木SC限定の納豆を売ってもらってるんですね。この納豆も、エスクデロ選手が『食べたことないので、動画であげます』とやってくれたり。
―この協力的な姿勢、素晴らしいですね。そして、毎回一定数の反響がありますね。
えとみほ:選手のアナリティクスをキャプチャして送ってもらっているのですが、エンゲージメントがとても高いんですね。あるとき、公式SNSで『日光カステラ』というスポンサーさんの商品をリツイートしたんです。そうしたら、瀬川選手がわざわざカステラを買ってきて、食べたよって写真を上げてくれたんです。瀬川選手のフォロワー数は、2,000フォロワーくらい。でも、私のTwitter(5万フォロワー以上)よりエンゲージメント率が高い。フォロワー数から考えると、いいねやリツイートが信じられないほどつくんです。ローカル企業では、インフルエンサーマーケとやSNSマーケを打つ上で苦労しているところが多いです。Jクラブは、選手を通じてそうした企業課題を解決できるのではと思います。
〔Jリーガーは、ローカルマーケの担い手になりうる〕
―伺っていると、プロサッカークラブの新しい可能性を感じます。
えとみほ:例えば、サッカー日本代表選手のSNSには大きな広告価値があります。一方J2・J3の選手は、当人がSNSで発信することに価値を感じていないんですね。でも、実はフォロワーに地元のファン・サポーターがいるので、ローカルへのマーケティングではすごくいいインフルエンサーになり得るんです。
―これこそ『正しいインフルエンサー・マーケティング』と感じます。ネット上でただ有名というわけではなく、しっかりした基盤を持っている。
えとみほ:そうなんです、フォロワーがギュッとしているというか。私のフォロワーは分散しているので、栃木の話をしても興味を持たれずエンゲージメントが下がってしまうんですよ。これが例えば栃木に10年いる選手だと、フォロワーがかなりの割合で栃木の人なんですよね。そこで地元の商品やお店をPRすれば、大きな効果があります。
―伺っていて、Jリーガーが新しいビジネスを生む可能性は十分あるなと感じました。
えとみほ:そうですね。今までクラブはあくまでスタジアムに人を集め、入場数に応じてお金をもらっていたと思います。しかし現在は、ひょっとしたら来年いっぱい入場規制が解除されないかもしれない。そういう状況では、いかにスタジアム外での注目度を高めるか、選手の広告媒体としての価値を上げていくかが大事です。そこに振り切りたいと思います。
―伺った事例はいずれもtoCの商品だと思いますが、toBでも相性は良いのですか?
えとみほ:toBでも『こういう取り組みをやっています』というPRは可能です。以前、ダスキンの代理店さんがお掃除動画を作っていたので、それを拡散するお手伝いをやったことがあります。『こういう社会貢献的な活動をしているよ』ということを、選手を絡めてPRできるんですね。」
〔タダ券で新規が来る時代は、終わったんです。〕
「―限られたリソースを活かすための方法を、現場目線で綴っている。素晴らしいnoteだと思いました。以下、見出しを抜粋します。
『1.各種の手続きをオンラインで行うこと 2.連絡先にキャリアメールを使わないこと
3.クラブ発信の情報を極力受け取ること 4.DAZNに加入して毎試合視聴すること
5.JリーグIDを取得してグッズやチケットを買うこと 6.パートナー様主催のイベントに参加するこ
7.公式のSNS投稿を拡散すること 8.観戦ルールを守ること
9.サポーター同士で揉めない、新参者を排除しないこと』」
「―個人的には、『サポーター同士で揉めない、新参者を排除しないこと』を書いてくれたのがよかったです。これは、ある層とは本当に断絶があると思います。
えとみほ:ある一定の年齢層以上の方には、『タダ券を配れば新規が来る』と思っている人が結構います。『サッカーは人気スポーツだから』って。でも、実際に私たちが置かれている状況は非常に厳しい。タダ券くらいでは、アクセスの悪いスタジアムには来てもらえません。ゆえに、来てくれた新規の方は貴重なんです。そういう方々に、『二度と来たくない』と思わせてしまうのはすごくつらいんです。ご新規さんに関しては、『クラブが相当なコストかけて来場してもらった人たち』と認識してもらえたら。わがままかもしれませんが、そう思っています。」
〔うちのような地方クラブは、AKB方式しかない。〕
―非サッカーファンの若い人たちが自然に競技に触れる接点は、なかなか少ないのが現状です。いまの10代にとって、サッカーに触れる最初のきっかけはやはりSNSなのでしょうか?
えとみほ:スタジアムに来ているお子さんに関しては、親御さんの影響が多いように思います。逆に言うと、親御さんがファンやサポーターという方以外なかなか来る機会がないんですね。SNSで触れる層は、まだ多くないですね。例えば那須大亮さんがやっているYouTubeとか、ああいったものを見るお子さんは増えていると思いますけど。
―日本のメジャースポーツは、地上波テレビと紐づいて発展してきたと思います。スカパー!やDAZNは有料なので、当然ながら既存ファンがメインとなる。どうやって新規を獲得するかは、積年の課題ですね。
えとみほ:そうですね。今までみたいにフル代表とマスメディアから恩恵が下りてくる形が、通じなくなってきているのかなと。例えば、遠藤保仁選手がジュビロ磐田に移籍しましたが、あれくらい知名度があって集客できる選手ってほとんどいないんですね。いても40歳を超えるか、海外組になってしまう。
―そうですね、本田圭佑選手や香川真司選手、長友佑都選手然り。
えとみほ:知名度のある国内選手は、アラフォーなんですよね。今後、そうした年齢層の選手は引退していくので、どうするか。うちみたいな地方クラブは、AKB方式しかないと思っています。『会えるアイドル』みたいな(笑)。実際、選手のファンになったきっかけでも『学校に講演に来てくれた』『スクールで来てくれた』『体操教室に来てくれた』など、要するに『会ったことがあるから、応援する』といった声を多く聞きます。」
〔DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めたい〕
―今後、クラブとしてオンラインで実現していきたいことはありますか?
えとみほ:クラブ全体として、DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現したいと思っています。内部では、かなり進んでいます。例えばStockというサービスを使って、情報を集積し、属人化しない取り組みはできています。一方、社外に対してはまだまだですね。」
〔スポンサーさんに甘えず、広告媒体としての価値を。〕
「―来年も今年なみにスポンサーフィーを獲得できたら、現在のSNSマーケティングを具体的なスポンサーメリットに繋げられる可能性がありますね。
えとみほ:そうですね、スポンサーさんに甘えているのはよくないので。広告媒体としての価値を出していきたいです。今、栃木の会社さんで困っているのはSNSやネットを使ったプロモーションなので、そこでお役に立てればと思います。
―多くのJクラブにとって課題だった『広告媒体としての価値』を、引き出す動きになっていますね。
えとみほ:選手SNSの価値については『今までなんで気づかなかったんだろう?』と思いました。業界全体でメンタルブロックがかかっていたかもしれないですし、選手自身が気づいていない部分も大きかったかもしれません。」
―とはいえ、選手にとっては契約交渉時に『これだけの広告効果を生み出した』という話ができますよね。それは、選手のマーケティング面での価値を引き上げると思います。
えとみほ:そうです。選手自体がメディアを持つことは、今後めちゃくちゃ重要になると思っています。」
ちょっとボリュームが多かったので、当ブログで強調したい部分を中心に抜粋させていただきました。TikTokに関する内容もあったのですが、ネガティブに映る読者の方もおられると思ったので今回割愛させていただきました。確か鹿島さんもやっておられて、効果的なツールだとは思いますが。
聞き慣れない専門用語がいくつか出てきたので、自分のリスペクトも兼ねて解説します。「エンゲージメント率」は「ある投稿に対してどれくらいのエンゲージ(反応:いいね、クリック、シェアなど)があったか」を計る指標。「キャリアメール」とは携帯メーカーが提供する電子メールサービス、つまり携帯メールの事ですかね。デジタルトランスフォーメーションとは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念で、つまりICTの利活用が幸せにしてくれるという事ですか。
面白かったですね。当ブログでも昔から「一番の主力商品はあくまで選手。コーチでいいですか?やフロント社員の露出を高めようという価値観は個人的には好ましく思えない」と書いています。その面ではえとみほさんのコメントは、全くそのとおりで、更に具体的に解説してくれて、説得力が増しています。当ブログも瀬川選手の「1人ファン感」には衝撃を受けています(笑)。AKB方式、まさにそのとおり。当ブログでも「選手も、観客席にあの人が来ているからともう1歩先に走れる。」と、ファン・サポーターとの距離感を近づける面での選手にとってのメリットも書いています。今後は選手を主力商品として上手く使えるクラブは栃木さんのように成長し、J1にふさわしいクラブになっていき、逆に選手を上手く使えないところ、コーチ、フロントうんぬんにこだわるところは、うーむしんどいイメージがあるなと。
J2栃木関連:㉕:㉔:㉓ / ㉒ / ㉑ / ⑳ / ⑲ / ⑱ / ⑰ / ⑯ / ⑮ / ⑭ / ⑬ / ⑫ / ⑪ / ⑩ / ⑨ / ⑧ / ⑦ / ⑥ / ⑤ / ④ / ③ / ② / ①
#がんばろう日本 #ThankYouHealthcareWorkers #ThankYouCaregivers